2013年7月22日月曜日

いわき教会「チーム平・堂根」活動報告

                  《津波による被災者支援活動》 
 いわき教会のとなり町には雇用促進住宅があり、そこには1500~1600人ほどの人たちが住んでいる。福島では原発の被害がクロ-ズアップされがちだが、ここに住んでいる人たちは津波による被害を受けた方々である。各階18世帯14階建てのこのみなし仮設はいわき市では抜きんでて大きい施設である。いわき教会「チーム平・堂根」では「我が同胞のいわき市民を助けよう」という意見で一致しこの雇用促進住宅への支援を開始した。

 あまりに大きい施設すぎて、いわき教会の「チーム平・堂根」が支援を始めるまでは隣にだれが住んでいるかわからないという状況だった。あたかも都会のマンション事情のようである。
 津波ですべてが流され、お金も家族も家もない。雇用促進住宅の方々は引きこもり気味になっていたという。雇用促進住宅に住む方たちがお互い親しくなり、協力し合えるようになってほしいと「チーム平・堂根」では考えた。

 福島では「大きい仮設にはボランティアがたくさん来るが、小さい仮設にはボランティアが来てくれない」という声をよく耳にする。しかし、大きすぎる仮設には、かえってボランティアがあまり来ないのだという。
 「チーム平・堂根」がボランティアに入るまでは社会福祉協議会が月に2回第1、第3金曜日に入っていただけだったという。そこで「チーム平・堂根」では毎週サロンが行われるように第2、第4金曜日にサロンを開くことにした。
 カトリック教会がボランティアに入るに当たり、宗教色は出さないでほしいと自治会長さんから言われた。また戸別訪問をしないようにとも言われた。
 カトリック教会ではあるが宗教の話は一切しないと約束した。
 今もなお、宗教の話はしない。シスターも修道服ではなく私服で支援してくださっている。

「被災者」という言葉は、言うほうも言われるほうもいやだ。
「住宅」の方とお呼びすることにしよう。
私たちが飲むよりおいしいお茶を「住宅」の方に。
私たちが食べるよりおいしいお菓子を「住宅」の方に。
会議机の殺風景さに花を添え、素敵なテーブルクロスも準備して。
全国各地からおいしいお菓子が寄せられた。
毎回おかしは3種類準備し、そこにフルーツも並べられる。
お茶、コーヒー、ドリップ専用コーヒー用ケトルに素敵なティーカップ・・・。
 準備に1か月を費やし、雇用促進住宅の全戸にチラシを配り、ポスターもいたるところに掲示してボランティアを開始した。
 雇用促進住宅の皆さんとはあっという間に親しくなった。
 手作業などの物づくりは取り入れず傾聴を重視している。手作業に集中して気持ちの吐露ができなくなることを避けるためだ。

 何でも望みを聞いてくれる人たちだと思われ、要求が大きくなって困ったこともあったが、現在の支援は年2回(5月・11月)のイベントの開催と月2回のサロンの開催、住宅の方の自立支援の食品加工と販売への支援にとどめている。
 イベントでは炊き出しを行う。様々な地域の様々な食べ物をそれぞれ300食準備する。このイベントは、サロンにはいつも顔を出せない方々とのふれあい、話をして頂く機会としている。
 2012年5月のイベントでは住人同士で「あなたもここにいたの!」という声が雇用促進住宅の人々の間で飛び交っていた。
2011年3月に被災し1年以上たつのに、顔をあわせる機会がなかったのか。その間、この人たちはずっと家にこもっていたのか」とわかり愕然とした。

 最近、住宅の方たちからは生活が苦しいという声が上がっている。
 自治会費も納められない人も多いようだ。
 生活費もままならないらしい。
 震災まで食品加工工場で働いていた高齢者は職場を失い貯金を切り崩しつつ年金生活だけで生活している。
 「チーム平・堂根」では物資支援を無駄にならないように少しずつ支援している。
 また、いわき教会の台所を厨房にし、餅や佃煮、ピクルスなどの加工品を「住宅」の方と一緒につくり、販売して収入につなげ、自立支援している。このプロジェクトのため、中心となって活動している信徒の佐々木三代子さんは食品衛生保健士の資格を取った。

 サロンには原発被災者も加わり始めた。「あの人たちは補償をもらっているんだから私たちとは違うじゃないか」とみなし仮設の人たちから声が上がったが、今は仲良くやっている。

 雇用促進住宅の皆さんは27年3月には復興住宅に移動することになる。しかし、高齢者には引っ越しが負担だ。ようやくいわき市内での生活環境に慣れたのに不便な生活に戻ることを強いられることになる。復興住宅への移動だけではなく、雇用促進住宅の中での引っ越しも頻繁に強いられている。雇用促進住宅にはカーテンレールもない。
 引っ越す度に、やっと親しくなった方とまた別れる。引っ越し先でまた、一からやり直さなければならない。相談相手になるような人と出会うことができるのか...人間はコミュニティーの中で生きている。コミュニティーの崩壊が最も大きな問題である。

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