2013年3月1日金曜日

第18回仙台教区サポート会議~二本松教会にて

 2月28日、福島デスク(カトリック二本松教会内)において、「第18回 仙台教区サポート会議」が開かれました。会議に先立って、午前中はお二人の被災者の現状を聞きました。

①「会津の自主避難者の現状について」
 郡山市から小さいお子様をお持ちのお母様が会津に避難されています。この会議にはスカイプで参加していただきました。
 内容的には、このブログ2月2日の「会津地区自主避難者ミーティング」とほぼ同じですので、そちらをご覧ください。

【福島デスクより】お話の最後に、どうしてほしいですか、という質問に対し、「こうして話を聞いて頂いたことが一番の慰めです。今まで、自主避難者は訴えも聞いてもらえず、みんなから見捨てられ忘れられていると感じていましたが、こうして問題を取り上げてもらえて話を聞いてもらえて、それが一番嬉しかったです。」という言葉が心に残りました。この2年間、どれほど辛い孤独な中に捨て置かれたのかを垣間見る言葉でした。

②二本松市における農業の現状について 
 講師:大内信一様(有機農業家、無教会派信者)のお話

有機農業家の大内信一さん

 「45年前に三重県の「愛農会」で出会ったことが転機でした。その時初めて聖書を知り、5年後には有機農業とも出会い、聖書と農業が私の使命と感じるようになりました。「人を愛し、神を愛し、土を愛す」という三愛運動を柱にしていた愛農会から影響を受けました。
「福島の大地を守り福島で生きる、それが私に与えられたはかりなわである」旧約聖書の預言者ははかり縄と言う言葉をたびたび使っています。はかり縄は、面積を測るしるしのついた縄で、それはまた鉛がついた紐のことも指すようです。「はかり縄は災いを下す」という箇所があります。この神様のはかり縄の下げ降りが、神の意志によって福島の地に落ちたと私は思いました。日本は経済発展を追求して成長を遂げました。その経済成長を維持するために原発をどうしてもやめることができません。そういう中で我々はどう生きるのか。やはり我々は与えられた土地で、与えられた状況の中で生き方を考えていくことが大切だと思います。

 残った我々は、福島の地を、花や作物で飾りたいと思っています。ひまわりやナタネは放射能をたくさん吸ってくれます。それは神様から与えられた大きな恵みであると感じました。またきれいな花が咲いて油がとれます。そして油にはセシウムは移行しません。その油は食用にもなりますし、エネルギーにもなります。福島では、今、農産物を作っても売れないし、人もいなくなるということで、田畑がどんどん荒れています。そういう中で、我々はそういう作物を与えられたと思います。

 原発が爆発したとき、ほうれん草が畑いっぱいに葉を広げておりました。収穫間近のものでした。その畑に行って私は感激しました。「ああ、ほうれん草が空から降った放射能を葉っぱで受け止めて土を守ってくれた」と思ったのです。そのほうれん草を軽トラック10台分ぐらいを運んで捨てました。ほうれん草が自分の身を犠牲にして土を守ってくれたと思いました。その時、小さい芽を出しているほうれん草もありました。5月になって大きくなったほうれん草を放射能検査しましたら、まったく吸っていませんでした。

 私は栄養が豊かな土地であれば、作物がセシウムを吸わなくてもいいのだと感じました。土の豊かさと作物の賢さがあいまって我々を助けてくれる。捨てなければならなかったほうれん草と食べられるほうれん草を見ながらそう感じました。ネギはすべすべしているので放射能をまったく寄せ付けません。根からもまったく吸いません。

 ネギの後には虫害も受けず立派なカブやニンジンが育っています。放射能も寄せ付けず、害虫も防いでくれるネギが我々の大きな助けになっています。しかし、放射能に対する不安から6割の消費者が去りました。それでも「大内さんが食べる野菜なら私も食べます」と言って、4割の人を我々を支えてくれています。

 この状況の中で何を作ろうか悩みましたが、ニンジンに着目しました。チェルノブイリでもキュウリ、ナス、トマトの次にニンジンが放射能の吸収が少ないことが分かっています。それをニンジンジュースにしようということで取り組んでいます。

 人間にはそれぞれ与えられたはかり縄があります。そしてやはり生きる糧になるのは聖書の言葉、聖書の歴史だと思います。それにより支えられておりますが、有機農業の面でもひとつの明確な方向性を与えられました。それは自分だけが安全なものを生産するのではなく、地域全体で安全なものを栽培していこうということです。

 私は福島を日本一安全な農産物の生産地にしたいという夢を持っています。我々が培った40年の蓄積を一般の人々にも広げていきたい、そのように思っています。

 福島を守ること、それはまず土地を守ることだと私は思っています。花と作物で、田んぼや畑を飾りたい、それが福島の行く道だと思っています。

 「はかり縄は楽しき地に落ちた」というのは私の好きな言葉ですが、現代の聖書では「はかりなわは麗しき地に...」とも訳されています。何年か後、福島の地が今よりももっと麗しき地に、楽しき地になるよう祈りながら我々は進みたいと思っています。」

【福島デスクより】福島の被災者の生の声を司教様方に聞いて頂いてとても嬉しく思いました。今後、小さい群れで放射能と戦っている人々にいかに援助の手を差し伸べていくか、その具体的方法を構築していかなければなりません。




正面左から:大内さん 平賀司教様 菊地司教様

幸田司教様 ミゲル神父様 矢吹助祭様 ホアン神父様
小野寺神父様 諏訪司教様 神田神父様 古木神父様 


ホアン神父様 伊藤さん 濱口さん 小野さん 梅津神父様 シスター長谷川
                                                                                                                            


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